日本映画『つむじ風食堂の夜』
2009年 日本
監督:篠原哲雄
4年前に出版された同名小説の映画化、「つむじ風食堂の夜」。このタイトル、ぐっときませんか?
つむじ風…って、よく聞くけどあまり遭遇したことのない、ちょっと寓話っぽい風。食堂…これは食いしん坊なら誰でも即反応する場所。夜…この時間帯はドラマがいっぱい。
小説は、どこか知らない町の小さな食堂に、あっちこっちから集まる人たちが、くるりとつながって小さなつむじ風を起こすようなお話ですが、映画を観て驚いたことに、原作のイメージがそっくりそのまま映像化されていました。静かで、控えめで、温かい。そしてどこか懐かしい。
とても幸いなことに、劇中たびたび登場する題字を書かれた二井康雄さんとは十数年来のおつきあいで、その優しくて可愛らしい文字を見るだびに顔がにっこりしてしまうので、人一倍映画を楽しませていただいたような気がします。そんなご縁もあり、監督の篠原哲雄さんにもお目にかかってお話をうかがいましたが、食堂の函館ロケはとても少ないスタッフで行ったけれど、人や、物や、いろんな幸運に助けられながら撮り終えたのだそう。優しい気持ちでみんな支え合いながら作った映画は、それが全部映像になって表れるんだろうな、と思いました。
さて、タイトルが”食堂”ですから、おいしそうな料理が出てきます。メニュー表も出てきます。どれどれ…?
クロケット定食…700円、ビーフポテト定食…750円、サヴァのグリル シシリアンソルト風…800円、オムライス…800円、ステーク定食…1300円、クローヨ定食…850円。
映画でスープは映りませんでしたが、定食なので、きっとカップスープがついてきたんじゃなかろうか?と思います。おいしそうな牛肉メニューがいくつもあることから、牛肉の切れ端や骨付き肉を煮出して作ったビーフブイヨンに、おいしい海の塩を加えて作ったシンプルなスープをイメージしてみました。彩りに小口ネギをたっぷりと。シンプルだけれど、ムダを出さず、手間ひまかけてじっくりコトコト煮込んだスープは、食堂の中も、人の心も体もほんわかと温めてくれるのです。
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【自家製ビーフブイヨン】
■材料(仕上り720cc/5〜6杯分)
野菜の皮や切れ端(普段から冷凍しておくと便利)…250g
牛肉(牛筋など安い部分でOK)…250g
にんにく…1片
ローリエ…1枚
水…1000cc
【作り方】
1:鍋に水を入れ、野菜の皮や切れ端、にんにく、牛肉を入れて強火にかける。
2:沸騰したらあくを取って弱火にし、ローリエを入れてふたをしないで1時間煮込む。
3:火を止めたら完全に冷めるまでそのまま置き(脂を固まらせるため)、ボウルの上に漉し器をのせてキッチンペーパーを敷き、鍋のスープを静かに漉す。
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【自家製ビーフブイヨンのネギスープ】
■材料(1人分)
ビーフブイヨン…160cc(おたま2杯程度)
塩、こしょう…少々
万能ネギ…2本
■作り方
1:ビーフブイヨンを鍋に入れて火にかけ、塩、こしょうで味を調える。
2:万能ネギを小口に切ってトッピングする。